立派なホームの常豊信号場

◆立派なホームの常豊信号場

次の駅は、国道３８号線の峠を越えると、上厚内駅だが、少し寄り道をしてみようと思った。国道に進まず、線路沿いの道道を北上し、途中から未舗装道路に入っていく。遮断機のない踏切を渡ると、鉄路は山間にひかれている。その下を通る林道を進むと、なにやら鉄道の設備があった。駅ではない、信号所なのだ。深いカーブの途中にある信号場で、常豊信号場と書いてあった。駅でもないのに、立派なコンクリート製のホームがあり、利用者の少ない板張りのローカル駅のホームより、立派に出来ているには驚いた。しかも駅名票もしっかりとある。「つねとよ」と書いていて普通の駅となんら変わらない駅名表を使っていて、まさにもう駅といった感じだ。現在はＣＴＣ化で無人となったこの信号場だが、それ以前は何人もの駅員が勤務していたのだろう。駅周辺は、山に囲まれ、わずかに牧草地帯があるだけで、民家は一切ない秘境の地のようだ。国道３８号線は対面のの山の向こう側を通っていて、車の通行音は一切しない静寂に包まれた信号所なのだ。こんなところに駅を造っても利用者は皆無と思われる場所だ。だから、駅に昇格しなかったんだろうが、信号場としての大役は充分果たしているのだろう。一度ここで乗降する人を見てみたいが、一般の人は利用出来ないようだ。保線作業員がわずかに利用するのだろう。